山本クリニック
神経科のクリニックに、主としてアルツハイマー症の患者の人たちのためのデイケア・センターが併設された施設である。
田園の中の80×9メートルの細長い敷地いっぱいに細長い建築を計画した。防腐処理された杉板に直径30ミリの穴を開けて、その杉板を目透かしで張る。パンチングされた杉板張りのファサードである。だから外部から中の様子が多少はわかる。ここで介護されていることそれ自体が社会に参加していることなのだとしたら、その場所を密室のように隔離するのではなく、少なくとも中の気配がわかる程度には地域の側に開きたい。中からも外の様子を眺めたい。でも患者の人たちのプライバシーのことを考えると、あまりにもオープンだとちょっと具合が悪いようにも思う。そのぎりぎりの境界がこの杉板パンチング・スクリーンである。
(GAJapan19より抜粋)