アムステルダムの集合住宅
この集合住宅は、アムステルダム市ゾイド駅周辺の開発計画のひとつである。ヨーロッパ、アメリカ、日本から建築家が招かれ、駅南側のガーシュイン地区に、延床面積約71、700m2の住宅、オフィス、商業施設が計画された。私たちが担当したのは、身体障害者のための住宅を含む129戸の公営の賃貸集合住宅である。参加する建築家の人数だけでも9人。しかも、海外からも集まるため回数は限られるが、建築家、デベロッパー、アムステルダム市の開発担当者などによるワークショップによって計画が進められている。
アムステルダムの公営賃貸住宅は、スケルトンの状態で供給され、借主が内装やキッチンなどの設備の取りつけを行うことが一般的である。そこで私たちはオランダでもっとも一般的に行われている工法を採用した。コンクリート薄肉の壁と床による7.5mスパンのトンネル状の構造システムである。このスパンを半分に分け、片方をSOHO、リビングルームなどとして使う「フリーエリア」、もう一方をキッチン、浴室、寝室などの「サービスエリア」としてさまざまな用途の可能性をもつプランを提案した。ファサードは、ガラスと開閉可能なルーバーで構成する。住宅の「サービスエリア」側のテラスにはルーバーを取りつけ、寝室を外からの視線や騒音から守り、「フリーエリア」側はなるべくオープンなガラスウォールとする。