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市立K小学校
「市立K小学校」は生徒数1,300人という巨大な小学校である。
日本の多くの小学校は多くてもこの半分の生徒数なのである。

なぜこのようなことになったかというと、周辺にいくつものマンションが建ちはじめたからである。将来的にもさらにマンションが建つことが予想され、小学校への入学者増が見込まれる。そのために、100年以上の伝統がある小学校のその敷地があまりにも手狭になって、そこから撤退しなくてはならなくなったのである。全く新たな場所に小学校が計画されたのはそのためである。

それにしても1,300人の生徒数というのはあまりにも多い。それは、子供たちの教育のための適正値によって決められたわけではなく、たまたまその都市開発の手順が狂ってしまったための結果でしかないのである。1,300人の生徒に対して、この校区の人数は22,000人(12,000世帯)である。これでは「近隣住区」というようなコミュニティーをつくることは不可能に近い。この小学校が近隣の人びと(22,000人)のためのコミュニティーの核になることが難しいという意味である。

そのような小学校をつくるというコンペだった。私たち建築家にできることは何だろう。

周辺のマンションに住む人たちを含めて周辺住人に多少でも貢献できるような小学校はどのような小学校なのか。緑に覆われた小学校をつくる、それが私たちの提案だった。上階ほど少しずつ床面積が小さくなるようにして、テラスの面積をできるだけ大きくとる。そのテラスを先生や子供たちが自由に使えるといいと思った。丘のような形状の建築である。その丘をできるだけ多くの植栽で覆う。そして、その植栽のメインテナンスに周辺住民も参加してもらおうという提案だった。それが評価されてわれわれの案が採用されたのだが、教育委員会と話を始めると、やはりこの1,300人の生徒たちをどう管理するのか、その管理の仕方に話の方向が集中してしまうのである。生徒の管理をより統制的にして行こうとする、最近の文部科学省の方針ともそれは一致していた。

できるだけ教育の現場の先生たちと話をしたいと思った。結局、一年間の間に教育委員会や校長先生たち(現場の先生たちとはほとんど話をしていない)と60回を超えるほどの打ち合わせをした結果、いまのかたちに収束して行った。

環境をコントロールするための広いテラスを確保する。中廊下はできるだけ広くとる。
中廊下を展示ギャラリーのようにしたいと思ったからである。教室の配置は整然としていても、
それでも現場の先生たちや生徒たちの自主性をできるだけ妨げないようなプランニングのためである。

プレキャスト・コンクリートを多用した建築になった理由は、できるだけ細い見付けの柱梁にすることによって、プログラムがそのまま立ち上がったような形態にしたいと思ったからである。
敷地面積
15,100 ㎡
建築面積
6,100 ㎡
延床面積
15,500 ㎡
竣工
2018.5